関西と四国の移動方法としては、主に高速バスとフェリー経由の2つがあります。
この2つを比較した際、兵庫県の淡路島を経由する高速バスの方が便数が多く早く着くため優位な状況にあります。
しかしながら、淡路島の南側「紀伊水道」を渡るフェリー経由が劣っているわけではありません。
今回は、和歌山港と徳島港を結ぶ南海フェリーについて、そして実際に和歌山から南海フェリーで徳島に渡ったときの様子をまとめました。
目次
南海フェリーとは
南海フェリーに関して、公式ホームページには以下のように書かれています。
南海フェリーは、和歌山県和歌山市の和歌山港と、徳島県徳島市の徳島港とを結ぶフェリーです。和歌山・徳島間を約2時間15分で結ぶ唯一の航路で、マイカーはもちろん、バイクや自転車も載せることができます。また、徳島から南海電鉄全駅(泉北高速鉄道は除く)まで、フェリー運賃と南海電車運賃込みになっている「好きっぷ」など、お得に乗船できるサービスが多数ございますので、ビジネスに観光におすすめです。 船での旅で非日常感をたっぷり味わってみませんか?
引用:航路 | 南海フェリー
和歌山県と徳島県の間に紀伊水道がありますが、ここを横断するフェリーが南海フェリーです。
運航している南海フェリー株式会社は、南海電気鉄道(南海電鉄)を経営する南海電気鉄道株式会社の100%子会社であり、南海グループに属しています。
そのため、後述するようにアクセスや運賃の面で連携が行われています。
この連携は、大阪と徳島の移動に関して兵庫県の淡路島経由の高速バスの方が便数も多く所要時間も短いことへの対抗の意味もあるとか。
もっとも、南海グループのバス会社も同区間の高速バスを運行していますが。
南海フェリーの公式ホームページでも、フェリーを利用することのメリットとして「マイカーで快適な旅行を」「正確・安全な運航」「スムーズに関空・大阪なんばへ!」「海上でゆったりとした時間を」「経費削減・排ガス規制対策に」「長距離運転もフェリーなら快適に」の6つが挙げられています。
各項目の詳細は、ホームページをご確認ください。
運賃
基本運賃
フェリーなので、車や二輪車等でも乗船できます。
ただ、今回は徒歩での乗船だったため、旅客運賃のみ掲載します(表中の赤字は、繁忙期の料金です)。
大人 | 小児(小学生) | ||
旅客運賃 | 2200円 | 1100円 | |
グリーン料金 | 500円/1000円 | 250円/500円 |
このグリーン料金というのは、グリーン席利用時に必要な追加料金です。
グリーン席はJR線特急列車のグリーン席のようなリクライニング席で、かつ眺望性を高めた広い窓から海を見ることができる座席です。
ただし、座席指定はできません。
グリーン料金は繁忙期になると倍の値段になりますが、旅客運賃は(料金の値上げがなければ)一定です。
その他の料金(自動車運送運賃や二輪車の料金)、繁忙期の期間を含めた運賃の最新情報に関しては、公式ホームページでご確認ください。
好きっぷ
フェリーの乗船券と南海電鉄の乗車券がセットになった「好きっぷ」という割引きっぷがあります。
南海電鉄の全駅(泉北高速鉄道を除く)から徳島港まで、もしくはその逆方向へ片道2200円(小児は1100円/フェリーのグリーン席および南海電鉄の座席指定列車は別途料金を払うことで利用可能)で乗ることができます。
そう、フェリーの基本運賃と同じであり、実質鉄道料金はタダなのです。
1ヶ月前から購入可能ですが、当日に購入することもできます。
ちなみに、僕はこの記事を書いているときにこのきっぷの存在を知ったため、後ほど登場する南海電鉄の和歌山市・和歌山港間の運賃(160円)を別途払っていますw
また、2022年3月25日より徒歩乗船に限り利用できる割引運賃として、Visaのタッチ決済を用いた乗り継ぎ「スマート好きっぷ」の実証実験がスタートしています。
料金は同じ2200円(大人のみ)ですが、事前にきっぷを購入する必要がありません。
期間は、2022年12月11日までの予定となっています。
詳細は、ホームページの当該ページをご参照ください。
学割に関して
大学院生である僕は、学生割引(学割)の対象となります。
南海フェリーの場合、学割を適用すると旅客運賃および自動車の同乗者旅客運賃が2割引となります。
ただし、学割を利用するには「学生・生徒旅客運賃割引証(学割証)」が必要です。
所属する学校で学割証を発行する必要があり、学生証のみでは割引不可能となっています。
今回は学割証を持っていなかったので、通常運賃で乗船しています。
その他の割引
南海フェリーでは、その他にも往路割引などの様々な割引が用意されています。
詳細は、公式ホームページをご参照ください。
南海フェリーで和歌山市から徳島市へ
2022年(令和4年)のゴールデンウィーク後半中に大阪湾一周旅の一環として関西を訪れていましたが、5月5日(こどもの日)の朝に和歌山から徳島へフェリーで渡りました。
ちなみに、直前まで和歌山城で観光していましたw
南海電鉄で和歌山港へ
まずは、和歌山港を目指します。
和歌山港自体は和歌山市内にありますが、市街地から少し離れています。
そこで便利なのが、南海電鉄です。
和歌山港のすぐに近くには、和歌山港駅があります。
そして、この和歌山港駅までは南海電鉄(南海フェリーの親会社/前述参照)の特急サザンが連絡列車の役割を担っています。
この特急列車は座席指定車両(別途料金必要)のほかに自由席車両もあるので、運賃のみで乗車可能です。

さて、今回は(南海)和歌山市駅(和歌山県和歌山市)から乗車しました。

終点の和歌山港駅の1つ隣の駅です。
そして、乗車するのは和歌山市駅を10時11分発車予定の特急サザン和歌山港行きです。

10時10分ごろ、電車がやってきました。

クロスシートのThe・特急車両の4両、その後ろに通勤列車のごとくロングシート車両4両が連結、となかなか独特の雰囲気がありました。
自由席は後ろ4両なのですが、進行方向寄りの位置に立っていたため、移動が必要でしたw
10時12分ごろ、和歌山市駅を出発しました(1分の遅発)。
10時17分ごろ、和歌山港駅(和歌山県和歌山市)に到着しました。

和歌山港駅の改札を出たところにフェリーの乗り場への案内が書かれているので、それに従って進みました。
途中、動く歩道がありました。

南海フェリーのホームページには、出航の15分前までには乗船手続きを済ませるように書かれています。

南海電鉄で和歌山港へ向かう場合、好きっぷを購入している場合はともかくとして、今回の僕のように和歌山港駅到着時に乗船券を購入していない人は乗船できないかもしれないと思うかもしれません。
ただ、事前に南海フェリーさんに電話で確認したたところ、その心配は大丈夫とのことでした。
南海フェリー(和歌山港→徳島港)
乗船券購入
乗船口付近の自動券売機で乗船券を購入しました。
すでに説明しているように、2200円でした。
和歌山市駅で購入しておけば、南海電鉄の160円分を浮かすことが出来たんですけどねw
過ぎたことは仕方ありません。
乗船・和歌山港出港
さて、船に乗ります。

乗船する際、JRの検札のようにハンコを押されました。

船に乗るのは、去年2021年(令和3年)3月に長崎県の離島・壱岐島から帰るとき以来ですね。
フェリーに限れば、その往路以来です。


船に乗り込んだのが出港予定時刻の10分くらい前で、南海電鉄との接続の良さを感じました。
今回は、ビジネスコーナーを利用することにしました。
後ほど詳しく説明します。

定刻通りの10時35分ごろ、和歌山港を出発しました。


約2時間の紀伊水道横断の船旅のスタートです。
船内の様子
今回乗船したのは「フェリーあい」でしたが、ここで軽く船内の様子を紹介します。

上の写真と同じ画像(正確にはPDF?)が、南海フェリー公式ホームページにも掲載されています。
メインは乗船口と同じ階にあるB甲板で、ここにあるものを紹介します。

まずは、今回僕が利用した「ビジネスコーナー」です。
ビジネスコーナー
AC100Vコンセントと読書灯を備えたパーティション付の席を12席備えています。船内はFree Wi-Fiも完備しており、PCを持ち込むビジネスマン達に好評です。

コンセントはもちろんのこと、コンセント横のスイッチで読書灯をつけることもできます。


ただ、椅子の位置は固定で、少しテーブルの位置から遠いように感じました。
続いて紹介するのは、「椅子席」です。
椅子席
全76席の座り心地の良いリクライニングシート席です。個人で乗船される方等にも、快適にご利用いただけます。


まあ、特に説明することはないでしょう。
座席の色とデザイン的に、N700系の普通車自由席っぽいなと思いました。
次に、「じゅうたん席」です。
じゅうたん席
広々とした、明るく清潔な普通船室で、ゆったり足を伸ばしたり、寝ころがったり、快適な船旅を演出します。

俗に言う、雑魚寝ですね。
当ブログでこれまでの登場したものとしては壱岐島へのフェリーに乗った際に利用した座席も雑魚寝(二等船室)でしたし、船以外だと寝台特急サンライズのノビノビ座席も雑魚寝の一種ですね。
また、じゅうたん席には「女性専用席」と「優先席」も用意されています。
女性専用席(じゅうたん)
女性専用のじゅうたん席です。
優先席(じゅうたん)
お年寄りや体の不自由なお客さま、妊娠されているお客さまに配慮したじゅうたん席です。
上の写真の下側に写っているのが、「車椅子置き場」です。
車椅子置き場
置き場所に困らないよう船内にスペースを確保いたしております。気兼ねなくご活用ください。
普通のテーブル席もあります。

テーブル席には、「ファミリー席」と「優先座席」があります。
ファミリー席(テーブル席)
グループやファミリーをはじめ、お友達等との会話や、お弁当を楽しむスペースとして活用ください。
優先座席
お年寄りや体の不自由なお客さま、妊娠されているお客さまに配慮した座席を設置。必要とされている方が優先してご利用いただけます。
上の写真の右奥に写っている青と白のソファーが、「ソファー席」です。
ソファー席
深く腰を下ろして寛ぐことができる座席です。ゆったりと船旅をお楽しみいただけます。
更に、(モザイクで大部分が見えなくなっていますが)同じく上の写真の左奥に写っているのが、「カウンター席」です。
カウンター席
景色を見ながらおくつろぎいただけるカウンター席。AC100Vコンセントも備えております。
またまた同じく上の写真ですが、中央奥に写っているのが「案内所」兼「船内売店」です。
船内売店
売店では各種おみやげ、グリーン券の発売を行っております。
そして、運賃の説明で軽く触れた「グリーン席」。
グリーン席
眺望性を高めた広い窓から見える青い海。落ち着いた雰囲気のリクライニング席とソファーでゆったり静かな船旅をお楽しみいただけます。リクライニングシートにはAC100Vコンセントを装備(別途グリーン料金が必要です。)
ほかの座席の上の階にあり、追加料金(前述参照)が必要です。

グリーン席への階段には、グリーン室内からの写真が紹介されています。

上のA甲板には、屋外にも椅子が用意されています(暴露椅子席)。

案内図によると、写真手前側は避難集合場所となっています。
上の写真奥に写っている階段を登ると、展望デッキがあります。
展望デッキ
デッキ後方にあるフォトスポットです。カップルや家族での旅行の記念に撮影をお楽しみいただけます。
甲板後部には撮影スポットが用意されています。
甲板後部
紀伊水道を一望できる、とても開放感のあるエリアです。ここでは操舵室と同じ高さからの景色をお楽しみいただけます。

すべての座席を撮ったわけではないので、その他の座席や各座席の写真は公式ホームページをご参照ください。
あと、非常用設備や避難経路等は軽く把握しておいたほうが良いかもしれませんね。

この乗船日の約2週間前、北海道で悲惨な遊覧船の事故がありましたからね。
公式キャラクター
南海フェリーには、2人の公式キャラクターがいます。
2011年から南海フェリーのPRをしている、高野きららと阿波野まいです。
これからもお得な船旅情報をはじめ、南近畿や四国の観光情報も紹介していきます。
南海フェリーともども、どうぞよろしくお願いしま〜す。
公式ホームページには各キャラクターごとのわりとちゃんとした設定が載っているので、ぜひご確認ください。
高野きららは高野山で有名な和歌山県高野町から、阿波野まいは徳島県の旧国名である阿波国から取っているのでしょうか。
和歌山と徳島を結ぶフェリーですからね。
今回乗船したフェリーあい船内では、阿波野まいが案内所付近に描かれていました。

フェリーから見る淡路島
和歌山港を出てから約30分、進行方向右手には淡路島が見えていました。

後方に目を向けると、紀淡海峡(友ヶ島水道)を塞ぐ位置にある友ヶ島(無人島群の名称)の沖ノ島と地ノ島が見えました。

船内のWi-Fiに関して
船内にはフリーWi-Fiが完備されているので、便利です。
と言いたいところなのですが、回線速度がかなり遅く不安定だったことをご報告しておきます。
徳島港着港
船の中では、ずっとパソコンで作業をしていました。
そのために、ビジネスコーナーを選んだと言っても過言ではありません。
ただ、途中で酔ってしまい、休憩として寝ていましたw(なんかこの流れ、1年前にもあったような)
さて、目が覚めたときには徳島港到着前でした。
というか、徳島港到着のアナウンスで起きましたw


12時43分ごろ、徳島港に到着しました。
所要時間は、約2時間8分でした。

僕にとっては人生で初めての徳島県であり、これで四国4県すべて訪れたことになりました。

ちゃんと撮っていませんでしたが、フェリーあいは青色の船舶でした。

これから折返しで和歌山港に戻るようで、多くのお客さんが乗船が始まるのを待っていました。
徳島港→徳島駅
というわけで、徳島港にある南海フェリー徳島営業所を出ました。

和歌山港同様、徳島港は徳島市街地から少し離れた位置にあります。
ですが、徳島港から徳島駅までの直行バスが用意されていますので、ご心配なく。

好きっぷにはこの直行バスの運賃が含まれていないので、別途支払う必要があります。
余談(高速バスとの比較)
フェリーあいに乗船したのと同じ日、徳島から大阪へ戻る際は高速バスを利用しました。

「和歌山」から徳島までの所要時間が約2時間だった南海フェリーに対して、高速バスの所要時間は徳島から「大阪」までで3時間弱。
大阪から和歌山港まで1時間半くらいかかるので、大阪・徳島間の所要時間は高速バスの方が早いことがわかります。
また、便数(当時)に関しては南海フェリーが1日10本にも満たないのに対して、高速バスは2時間の3本くらいのペースと圧倒的優位。
運賃の安さを除くと、フェリーはバスに勝てないのでしょうか。
そんなことはありません。
実は、僕が乗った高速バスは大渋滞に巻き込まれてしまいました。

2022年のゴールデンウィークは5月2日(月)と5月6日(金)の2日の平日が間にあり、乗車日の5月5日は真ん中の3連休の最終日。
交通量の多さはもちろんのこと、途中で事故があったようで、淡路島を通過するのにかなりの時間を要しました。
結果的に、大阪にたどり着いたのは22時25分。
それも、当初下車予定だった「大阪駅JR高速バスターミナル」ではなく20分前に着くJRなんば駅での下車でした。
なので、大阪駅まで乗車していたら約5時間かかっていたことでしょう。
その点、南海フェリーと南海電鉄の組み合わせだと(事故等がない限り)大幅な遅延が発生することはなく、大型連休を始めとした人の移動が多いシーズンでは高速バスより優位かもしれません。
最後に
今回は、和歌山と徳島を結ぶ南海フェリーについてでした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。