九州の東側にある日豊本線を走る「ソニック」「にちりん」などのJR九州の特急列車。
その中に、特急にちりんシーガイアという長い距離を走る特急列車があります。
実際に「にちりんシーガイア7号」に全区間乗車してみたので、今回はその模様をまとめました。
先頭のグリーン車に乗車したので、一部前面展望の様子とともにお届けします。
(追記)2021年(令和3年)3月13日のダイヤ改正によって、日豊本線から783系電車が姿を消し、にちりんシーガイア7号はなくなりました。
新たに設定されたにちりんシーガイア5号は787系電車が使用されるため、前面展望は不可能です。
目次
にちりんシーガイアとは
この列車は、福岡県の博多駅と宮崎県の宮崎空港駅を結ぶ特急列車で、現在は1日に1.5往復運行されています。
総移動距離は413.1kmで、JRの(夜行列車を除き)最長距離を走る特急列車です。
距離の長さに加え、日豊本線の一部区間の最高速度の遅さから、全区間乗車に約6時間かかります。
かつては「特急にちりん」のうち787系電車を使用するものに与えられていた愛称でしたが、現在は博多駅直通の特急にちりんという意味合いが強いです。
(追記)2021年(令和3年)3月13日のダイヤ改正によって、にちりんシーガイアに使用される車両が787系電車となったため、ある意味原点回帰かもしれませんね。
にちりんシーガイア全区間乗車とJR九州の料金計算
今回は全区間乗車したので、その場合での料金です。
特急料金
JR九州の特急料金は、JR九州のホームページなどに載っています。
今回は在来線特急のグリーン車利用なので、通常期の指定席特急料金から530円引いた値段となります。
- グリーン車をご利用の場合の特急料金は、通常期の指定席特急料金から530円引きになります。
ただ、JR九州の在来線の特急料金に閑散期や繁忙期はないので、実質的に自由席特急料金と同じと考えることが出来ます。
- JR九州内の在来線をご利用の場合
閑散期・繁忙期はありません(通年同額です)。
さて、この特急料金の区分において、300kmを超える範囲は「301キロ以上」とひとくくりになっています。
なので、特急にちりんシーガイア全区間(413.1km)のような長距離乗車であっても、途中から一定の料金(1680円)となります。
グリーン料金
JR九州のグリーン料金は、「100キロまで」「200キロまで」「201キロ以上」の3区分しかありません。
なので、201キロ以上の場合はどれだけ長い距離グリーン車に乗車しても、同一の値段(2570円)となります。
先ほど説明したように特急にちりんシーガイアは400km以上の距離を走行しますが、これほど長い距離を乗ってもグリーン料金は高くならないのです。
全区間乗車すると約6時間となりますが、それだけ長い時間グリーン車に乗車しても2570円で済むのです。
まとめると
特急にちりんシーガイアを全区間乗車すると413.1kmですが、特急料金は301キロ以上、グリーン料金は201キロ以上は同一料金なので、乗車時間に対するコスパがめちゃくちゃ良いのです。
グリーン車をとことん味わいたいという方にオススメです。
783系電車グリーン車指定席
雰囲気
783系電車のグリーン車は、1号車A室にあります。
783系電車は各車両の中央に扉があり、そこを境にA室とB室に分かれています。
1号車の運転席側の半室がグリーン車、反対側(B室)が普通車指定席となっています。

上の写真から分かるように運転席との区切りが透明ガラスとなっており、進行方向が運転席側のときは前面展望を楽しむことができます。
運転席側からグリーン車を見ると、下の写真のような感じです。

座席
では、座席を見ていきましょう。

いい写真を撮ることが出来なかったのですが、個人的には見た目以上に倒れるように感じました。

フットレスト
次に、フットレストです。
まず、初期状態です。

靴を履いた状態で使用することができます。
さらに、フットレストを手前に倒すと、カーペットのようなフットレストになります。

こちらは、土足厳禁です。
靴を脱いで利用しましょう。
最大まで動かすと、下の画像のような感じです。

段階ごとにロックがかかる仕組みになっています。
このフットレストの横にはレバーがありますが、これでロックを解除します。

また、最前列には予め備え付けられているフットレストがあります。

最前列以外の座席に比べると、少し窮屈に感じるかもしれません。
ちなみに、レッグレストはありません。
テーブル
次にテーブルですが、2種類あります。
1つ目は、普通車と同じ背もたれのテーブル(シートバックテーブル)です。

倒すと、下の画像のような感じです。

正直言って、グリーン車にしては普通のテーブルな気がしました。
もう1つが、肘掛けに収納されているテーブル(インアームテーブル)です。
2列側は、座席外側の肘掛けに収納されています。

肘掛けを開いて、中にあるテーブルを出してみました。

少し小さいかもしれませんが、かなり手前側にあるので便利だと思います。
両方のテーブルを出すと、こんな感じです。

それぞれのテーブルが干渉しない形となっています。
似たような形式のN700系新幹線のグリーン車のシートバックテーブルは前後に動かすことができるので、それに比べると少々劣るのかなというのが個人的な感想です。
その他
一点マイナス点を挙げるとしたら、トイレの位置でしょう。
1号車にトイレはあるのですが、B室の後ろ側にあるのです。
そのため、一旦普通車指定席となっている1号車B室を通る必要があります。
にちりんシーガイア7号全区間乗車してみた
2019年(令和元年)11月4日、にちりんシーガイア7号の全区間でグリーン車指定席を利用したので、その様子をまとめました。
博多駅
福岡県福岡市にある九州で一番利用者数の多い、博多駅。
今回は、この駅からの出発です。

特急の名称が「にちりんシーガイア」とかなり長いため、発車標に書かれている文字は窮屈な感じがしますね。
博多駅で宮崎県の駅が表示される貴重な列車でもあります。
エスカレーターでのぼり、ホームに着きました。

ホーム上では、乗車位置案内がなされていました。


今回乗車したグリーン車指定席は、1号車A室(運転席側)にあります。

列車がやってきました。

博多駅からしばらくの間は、グリーン車指定席は最後尾となります。

早速車内に入ることとしました。
先ほど軽く触れたように、783系電車の扉は各号車の中央にあり、デッキを境にA席とB席に分かれています。

今回の場合、扉入って右側がA室となります。

座席に座り発車を待っていると、車掌さんが検札にやってきました。

今回座った座席は、1号車1番A席です。
本当は1番C席に座りたかったのですが、このきっぷを買いに行ったときには既に空いていませんでした。
なぜC席に座りたかったのかは、後述します。
あとで気づいたのですが、方向幕を撮り忘れていました。
博多駅→小倉駅
7時31分ごろ、博多駅を出発しました。
前面展望を楽しめる先頭車両ですが、博多・小倉間は進行方向が逆です。
そのため、初めは運転室を背に座った形となります。
8時32分ごろ、小倉駅(福岡県北九州市)に到着しました。

小倉駅で進行方向が変わる
ここからは進行方向が変わります。
博多・小倉間も進行方向に座席が向いていたので、自分で座席の向きを変える必要がありました。

博多・小倉間で予め進行方向とは逆向き(小倉・宮崎空港間での進行方向)に座席が向いていることもあるようです。
僕がC席を取りたかった理由ですが、A席では目の前が運転席となり、その分景色を楽しめないかもしれないからです。
小倉駅→大分駅
8時34分ごろ、小倉駅を出発しました。

8時51分ごろ、行橋駅(福岡県行橋市)に到着しました。
この駅は、平成筑豊鉄道の田川線の起点の駅となっています。

8時52分ごろ、行橋駅を出発しました。
9時9分ごろ、中津駅(大分県中津市)に到着しました。

中津駅は、にちりんシーガイア7号の大分県最初の停車駅です。
9時10分ごろ、中津駅を出発しました。
中津駅を出ると、すれ違う列車をあまり見なくなりました。
中津駅以南から普通列車の本数は少し減るため、青春18きっぷでの旅では苦労したものです。

9時52分ごろ、別府駅(大分県別府市)に到着しました。

9時54分ごろ、別府駅を出発しました。
約3分の遅発です。
10時4分ごろ、大分駅(大分県大分市)に到着しました。

大分駅では、運転士さんと車掌さんが交代しました。
さすがに、全区間の業務は大変ですからね。
大分駅→佐伯駅
10時7分ごろ、大分駅を出発しました。
ここまで少し遅延していたのですが、大分駅で回復しました。
さて、大分駅を出てから列車の揺れが大きくなったように感じました。
大分駅以北に比べると、あまり保線状態が良くないのでしょう。
10時37分ごろ、臼杵駅(大分県臼杵市)に到着しました。

10時38分ごろ、臼杵駅を出発しました。
約2分の遅発です。
11時4分ごろ、佐伯駅(大分県佐伯駅)に到着しました。

佐伯駅→延岡駅(宗太郎越え)
11時6分ごろ、佐伯駅を出発しました。
3分遅延しての出発です。

今年の3月に青春18きっぷでグリーン車自由席利用で突破したことが記憶に新しいです。
今回は、その時以来の在来線特急車両のグリーン車です。

佐伯駅出発以降、次の停車駅である延岡駅まで約1時間あります。
この区間は、特急であっても全然スピードを出せない区間なのです。
11時20分ごろ、直川駅(大分県佐伯市)で運転停車、特急にちりん8号とすれ違いました。

11時32分ごろ、重岡駅(大分県佐伯市)を通過しました。
ちなみに、ホーム上に列車を撮影している人がいました。
11時51分ごろ、北川駅(宮崎県延岡市)に運転停車しました。

延岡方面から特急にちりん10号がやってきたのですが、車体がかなり上下に揺れていました。
この区間の保線状況が、よく分かります。

ちなみに、北川駅を始めとする延岡駅よりも北にある宮崎県の日豊本線の駅は列車の本数が極端に少なく、延岡方面は朝一の普通列車がその日最初で最後の列車です。
佐伯方面も朝と夜の2本しかありません。
12時7分ごろ、延岡駅(宮崎県延岡市)に到着しました。

延岡駅はにちりんシーガイア7号の宮崎県最初の停車駅ですが、すでに博多駅を出発して4時間半ほど経っています。
ですが、終点の宮崎空港駅はまだまだ先です。
延岡駅→宮崎空港駅
延岡駅では、再び乗務員が交代しました。
ただ、延岡駅まで運転していた運転士さんは運転席に残り、次の停車駅である南延岡駅で降りていました。
12時8分ごろ、延岡駅を出発しました。
リニアモーターカーといえば山梨県の実験線が有名ですが、かつては宮崎県で実験していました。

さあ、宮崎市街地に入ってきました。
同市内にある宮崎空港まで、あと少しです。

13時10分ごろ、宮崎駅(宮崎県宮崎市)に到着しました。

ここから先の宮崎・宮崎空港間は特急料金が必要なく、乗車券のみで特急列車に乗ることが出来ます。
特急料金はかからないものの、グリーン車利用の際はグリーン料金がかかることに注意する必要があります。
13時13分ごろ、宮崎駅を出発しました。
約3分の遅発です。
その隣の停車駅の南宮崎駅(宮崎県宮崎市)も、約3分の遅発(13時17分発)でした。
南宮崎駅で日豊本線から日南線へ左に分岐します。
その日南線の田吉駅(宮崎県宮崎市)から宮崎空港線に分岐、左にカーブします。
ちなみに、この田吉駅は廃線や利用客の少なさを理由に2度(1962年と1971年)も廃止されています。
国鉄からJRになったあとの1996年(平成8年)に宮崎空港線が開業した際に日南線との分岐駅として開業したのが今の田吉駅(3代目)です。
左にカーブしながら高架をのぼっていくと、車窓から宮崎空港の滑走路が見えてきました。

13時21分ごろ、約3分遅れで宮崎空港駅(宮崎県宮崎市)に到着しました。

7時31分に博多駅を出発してから6時間弱、長時間滞在したグリーン車をあとにしました。

宮崎空港(宮崎ブーゲンビリア空港)
宮崎空港駅を出て少し歩くと、宮崎空港(宮崎ブーゲンビリア空港)があります。


【補足】福岡市と宮崎空港
ちなみに、下の電光掲示板の一番上を始めとして、いくつか福岡空港行きの便があることがわかると思います。

福岡空港と宮崎空港はJALの直行便があり、1時間弱で行くことができます。
なので、ただ単に博多から宮崎空港へ行きたいのであれば、飛行機で行くべきでしょう。
また、福岡空港にしろ宮崎空港にしろアクセスは良いので、不便に感じることは全くありません。
陸路の場合、鉄道も乗用車もかなりの時間がかかります。
最後に
今回は、にちりんシーガイア7号と783系電車のグリーン車についてでした。
記事内で説明したように、全区間のグリーン車乗車はコスパが良いので、機会があればぜひ乗ってみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。