JRのきっぷには、特定都区市内制度というものがあります。
長距離のきっぷを購入すると自動的に適用され、「東京都区内」「〇〇市内」のような特定都区市内のエリア内であればどの駅で乗ったり降りたりすることができます。
ですが、この制度を活用することでエリア外の駅までお得に乗車することができるのです。
今回は、特定都区市内制度適用のきっぷを使ってエリア外の駅で下車する実践編です。
目次
前置き
特定都区市内制度とは
この制度をざっくり説明すると、主要都市を発着するある程度距離の長いきっぷの場合に適用され、運賃計算は中心駅が基準となり、そのエリア内のどの駅で乗車もしくは下車しても良いというものです。
この制度の詳細や各特定都区市内の対象駅などは、こちらの記事にまとめています。
エリア外下車(乗り越し)に関して
エリア外の下車に関して、わざわざそんなことせずとも降りる駅までのきっぷを買えば良いのではと思う人も多いかと思います。
では、どのような場面でこのようなことになるか。
それは、特定都区市内制度が適用されたきっぷを購入したほうが融通がきいたり、お得に乗車することができる場合です。
この詳細もこちらの記事にまとめていますので、詳しく知りたいという方はぜひ参考にしてみて下さい。
エリア外まで乗車してみた(「福岡市内」編)
2021年(令和3年)3月24日、鹿児島中央駅から福岡県にある遠賀川駅まで行きました。
特定都区市内の1つである「福岡市内」が書かれたきっぷを利用しますが、遠賀川駅はそのエリア外の駅です。
値段は乗車当時のもので、一部現在と異なります。
新幹線で博多駅(福岡市内)へ
鹿児島中央駅(鹿児島県鹿児島市)にやってきました。
今回乗車したのは、さくら548号新大阪行きです。
今回は、ネット予約で購入したきっぷ(九州ネットきっぷ)を使用しています。
このきっぷの乗車券は博多駅までではなく、福岡市内までとなっています。
「鹿児島中央→遠賀川」のきっぷを買えばいいだけの話かもしれませんが、ネット予約で購入したほうが新幹線をお得に利用することができるのです。
それについては、後ほど詳しく。
博多駅で在来線に乗り換え
博多駅(福岡県福岡市)に到着しました。
この駅で、在来線(鹿児島本線)に乗り換えます。
この乗換改札口の自動改札機に乗車券と特急券の2枚を通すと、特急券は回収されて乗車券のみ出てきます。
なぜなら、博多駅周辺の「福岡市内」にある駅まで乗車可能だからです。
ただ、今回は特急券を記念にもらいたかったので、横の有人改札を使いました。
在来線ホームに向かい、鹿児島本線の小倉方面の列車に乗りました。
「福岡市内」の端の駅を通り過ぎる
福工大前駅(福岡県福岡市)に着きました。
この駅が「福岡市内」の東側の橋の駅となるので、本来のきっぷの効力はこの駅までとなっています。
ですが、まだ乗り続けます。
目的地・遠賀川駅に到着
今回の目的地である遠賀川駅(福岡県遠賀郡遠賀町)に到着しました。
この駅で下車です。
エリア外の駅での精算
さて、エリア外まで乗車しているので、このままでは改札を通過できません。
下車する駅で精算する必要があります。
精算方法として精算機の利用と有人改札の利用があるのですが、今回は有人改札での精算となりました。
そのときに、駅員さんに福工大前駅から遠賀川駅までの運賃を払う必要があると言われました。
そう、博多駅からではないのです。
今回はSUGOCAを使用しました。
交通系ICカードが使えない駅では、現金での精算が基本になると思います。
上の写真の精算書に書かれている「660円」は福工大前駅から遠賀川駅までの運賃であり、博多駅から遠賀川駅までの860円ではないことが分かります。
普通のきっぷを買った場合と比較すると
では、「鹿児島中央→遠賀川」のきっぷを買った場合と今回のような乗車の場合で比較してみましょう。
まず、鹿児島中央駅から遠賀川駅までの運賃は6160円です。
次に、鹿児島中央駅から福岡市内までの運賃は5610円で、福工大前駅から遠賀川駅までの運賃が660円なので、足すと
5610 + 660 = 6270円
これだけでは、
6160 – 6270 = -110円
となり、110円損したことになってしまいます。
ですが、これは運賃だけを計算した場合で、特急料金を計算に入れていません。
今回はネット予約のきっぷを使用していることで、新幹線特急料金で得しています。
下の表は、鹿児島中央・博多間の新幹線特急料金(通常期/普通車指定席)をまとめたものです。
ただし、黒字の料金は乗車当時(2021年3月24日)の発売額、赤字は現在の発売額(新型コロナウイルス感染拡大に伴う乗客の減少に合わせた2021年4月1日からの価格改正)です。
通常 | 5030円 |
九州ネットきっぷ | 3820円/4290円 |
九州ネット早得3 | 3150円/3890円 |
九州ネット早得7 | 2240円/2890円 |
4月1日の乗車分からは博多・鹿児島中央間のネットきっぷの特急料金が高くなっているものの、それでも通常の新幹線特急料金よりも安いことは明らかです。
この差額は、先ほどの110円の損よりも大きいので、全体では得していることになります。
特定都区市内の適用されたきっぷでエリア外まで乗車できることを知っていると、このように活用することができるのです。
特定都区市内の適用されたきっぷでエリア外まで乗車して精算した場合が、必ずしも通しのきっぷよりも安くなるとは限らないので注意が必要です。
今回のように、運賃単体での計算だと損する場合が多いです。
余談:エリア外からの乗車の場合
特定都区市内のエリア外から乗車(今回で言えば、「福岡市内」発のきっぷを使って遠賀川駅から乗る、など)の場合は、どうすればいいのか。
それについても、以前「東京都区内」のきっぷを使って千葉駅(東京都区内ではない駅)から乗車するという形で実践しています。
詳細は、そのときの記事にまとめています。
最後に
今回は、特定都区市内制度を活用してエリア外まで乗車した場合の実践編でした。
特定都区市内制度が適用されるのは一定の距離以上のきっぷですが、知っているときっぷ購入の幅が広がると思います。
機会があれば、ぜひ試してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。