鉄道格安の旅の代名詞、「青春18きっぷ」。普段鉄道を使ったことがない方も一度は聞いたことがあることでしょう。
このきっぷはJRが販売するものなので鉄道車両にしか乗ることができないと思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、実は列車以外にも利用できる乗り物がいくつかあります。
今回は、青春18きっぷでフェリーに乗り、宮島や厳島神社の観光をした話です。
目次
本州と宮島を結ぶフェリー
宮島は瀬戸内海に浮かぶ島で、陸続きではありません。また、橋でつながってもいません。そこで、本州と宮島を結ぶフェリーが運行されています。
主に、JR西日本の子会社が運営している「JR西日本宮島フェリー」と広島電鉄グループの会社が運営している「宮島松大汽船」の2つの路線があります。
普通運賃(片道)はどちらも中学生以上が180円、小学生が90円となっています。
一部割引などで値段に差がありますが、基本的にはどちらを利用しても変わりません。
青春18きっぷで乗れるフェリー
青春18きっぷはJRが販売するきっぷですから、当然ながら鉄道用の乗車券です。
しかし、いくつか特例でバスや船に乗ることができます。その1つが今回の本題である「JR西日本宮島フェリー」です。
青春18きっぷを購入の際に一緒に受け取る「ご案内」にも記載されていますが、青春18きっぷで「JR西日本宮島フェリー」を利用することが出来ます。
なので、わざわざ乗船券を買う必要はなく、青春18きっぷを提示するだけでいいのです。
JR西日本宮島フェリーとは
「JR西日本宮島フェリー」は、先ほど説明したように本州と宮島を結ぶJR西日本の完全子会社が経営しているフェリーです。
このフェリーの一番の特徴は、大鳥居に沖から接近する「大鳥居便」があることです。
時期や天候などによって多少異なりますが、通常は9時10分から16時10分までの定期便で毎日運行されています。また、「大鳥居便」であっても追加料金を払う必要はなく、通常の運賃で海上からの大鳥居を楽しむことができます。
これが、宮島松大汽船との大きな違いです。
所要時間は、「通常便」「大鳥居便」ともに約10分です。
宮島口桟橋
JR宮島口駅から南に歩くこと5分、JR西日本宮島フェリーのりば到着しました。
ちなみに、この左手(北東側)に宮島松大汽船のフェリー乗り場があります。
青春18きっぷを乗船券として
本来ならば、着いてから窓口や券売機といったきっぷ売り場で乗船券を購入する必要があります。
しかし、今回は青春18きっぷを使って乗船するのでその必要はありません。なので、そのまま船に向かいます。宮島口側では改札はありません。
今回は、友人2人を含めた3人で乗船しました。
宮島口コンコースを通り宮島口桟橋乗船場に着きました。ここからは小さく大鳥居が見えました。
宮島フェリーを利用(往路・宮島口→宮島)
乗船
乗船場に着いたころにちょうど宮島フェリーターミナルからの船が到着しました。続々と乗客の方々が降りていきました。
いよいよ僕たちも乗船します。
あいにくの天気ですが、多くの方がこの船に乗りました。日曜日ということもあり、家族で利用されている方々が多いように感じました。
宮島口桟橋を出港
15時30分ごろ、宮島口桟橋を出港しました。約10分間の船旅のスタートです。
普段そこまで船に乗らないため比較はできませんが、それなりのスピードは出ていたと思います。
ななうら丸(NAMAURA MARU)
さて、JR西日本宮島フェリーには全部で3種類の船が存在します。「ななうら丸」「みやじま丸」「みせん丸」です。
船によって構造が異なり、船内の雰囲気も異なります。また、旅客定員はどれも同じですが、車搭載時の旅客定員や自動車搭載数が異なります。
今回は、「ななうら丸(NAMAURA MARU)」でした。
今回乗船した「ななうら丸(NAMAURA MARU)」には客室(屋内)と屋外ベンチがあるのですが、客室に座れなかったので屋外ベンチに座ることにしました。大鳥居のことを考慮して、進行方向に向かって右側のベンチに座りました。
屋外とはいえベンチ上部に屋根自体はあり、また雨がそこまで強くなかったので濡れることはありませんでした。むしろ、瀬戸内海に吹く風を味わうことができ、とても良かったです。晴れていないので景色はあまり良くなかったのが、少し残念でした。
大鳥居に大接近
JR西日本宮島フェリーの魅力といえば、なんと言っても大鳥居に大接近することでしょう。今回僕たちが乗った便も「大鳥居便」だったので、大鳥居の方向に進んでいました。
船が宮島口桟橋を出て約6分、大鳥居が見えてきました。船内では、日本語と英語での説明がなされました。
写真では小さく写っていますが、海側から見る大鳥居は新鮮でした。後述しますが、このときは潮が引いていました。
満潮時であれば、海に浮かぶ厳島神社の社殿と合わせて神秘的な光景を見れるのかもしれません。
宮島桟橋に着港・改札
大鳥居を通り過ぎると、港が見えてきました。
なかなか独特の雰囲気の漂う港です。1976年(昭和51年)に完成したものだそうです。
15時40分ごろ、宮島桟橋に着港しました。
車が先にフェリーから出て、その後に乗客の下船が始まりました。
前述のようにJR西日本宮島フェリーは宮島口側で改札はなく、宮島側でのみ改札を行っています。今回の場合は、下船時に改札係員にきっぷを渡すことになっています。
Suicaなどの交通系ICカードで乗船した方は、下船時に精算します。
一方で、フリーきっぷである青春18きっぷで乗船した場合は、改札係員にきっぷを見せるだけでいいのです。
改札にて、青春18きっぷを見せたら、係員に「良いですよ」と普通に通されました。
これまでの駅の有人改札に比べて、きっぷの確認の仕方が甘いような気がしましたが・・・(自分たちがやましいことをしたわけではないので、あまり気にすることではないのですが。おそらく、下船した乗客をスムーズに通すために、あまり止めたくないというのがあるのでしょう)。
というわけで、青春18きっぷを使って船に乗り宮島にやってきました。
厳島神社及び宮島の観光
せっかく宮島に渡ったので、宮島で観光することにしました。
宮島で一番有名なことと言えば、世界遺産・厳島神社でしょう。
少し歩かないといけないのですが、時間に余裕があるので向かいました。
島の名称と神社の表記について
ところで、先程から島の名称を「宮島」と表記していますが、正式名は「厳島」です。
宮島は通称であり、「安芸の宮島」とも言います。
宮島という名称は、「お宮(=神社;ここでは、厳島神社のこと)がある島」であることに由来し、江戸時代から呼ばれているようです。
国土地理院は「厳島」を正式名称としていますが、読みやすさや漢字の簡単さから「宮島」が使われることが多いようです。島が1950年(昭和25年)に厳島町から宮島町に変わったくらいです(現在では、廿日市市宮島町)。そもそも今回乗ったフェリーも「宮島」を採用しているくらいですからね。
この記事では、神社と島を区別して見やすいように島の名称を「宮島」と表記しています。
また、いつくしま神社の正式な表記(公式表記)は「『嚴島』神社」であり、「『厳島』神社」は公式表記ではありません。しかし、一般的に「厳島神社」の方が使われるので、この記事ではこちらの表記を採用しています。
大鳥居と社殿を目指して
さて、船の乗り場を出ると、すぐに目にとまる光景がありました。それは野生の鹿です。島内のいたるところに野生の鹿がいました。
ちなみに、奈良公園とは異なり宮島の鹿に餌を与えることが禁止されています。観光の際は、ご注意ください。
船乗り場の近くには、平清盛像が建っています。平清盛の名を知っている人は多いのではないでしょうか。彼は、厳島神社の発展に大きく関わったことで有名です。
海側に建っているので、見逃してしまう方も少なくないようです。
そこから少し歩くと、下の画像のようなものが建っています。
ここに書かれているように、宮島は日本三景の一つとして選ばれています。日本三景は他に宮城県の松島、京都府の天橋立があります。
途中色々なお店の横を通りましたが、後で寄ることにしました。
しばらく海岸沿いを歩くと、鳥居が見えてきました。表参道の「御笠浜の石鳥居」です。
ここから先は、いよいよ厳島神社です。意外と知られていなくて、ただ素通りする方も多いようですね。大鳥居の印象が強いのが理由の一つかもしれませんね。
大鳥居
先ほどの鳥居から歩くこと約数分、よくやく大鳥居が見えてきました。
先ほどは海側から見ましたが、今度は陸(宮島)側から見ます。
この時は比較的潮が引いており、大鳥居に近づくことができました。満潮時だと全然近づくことが出来ないので、運が良かったと思いました。
ちなみに、鹿は人間よりも遠くの方まで行っていました。
大鳥居の近くでは多くの観光客が鳥居を背景に写真を撮っていました。
海外からの観光客の方に写真撮影をお願いされたので、撮った後に逆に撮ってもらえないかとお願いしました。
雨が降っていたのですが、写真を撮ってもらったときは傘を閉じました。さすがに傘さしている状態での写真は嫌だったので。まあ、濡れたんですけど・・・w
それにしても、鹿多いですねw
厳島神社(社殿)
「厳島神社」は本来「神社」全体を指す名称ですが、一般的には厳島神社の社殿を指すことが多いように感じますね。というわけで、大鳥居の次に社殿に向かいました。
大鳥居から後ろを振り向くと、厳島神社の社殿が見えます。
満潮のときであれば海に浮かんでいるように見える社殿ですが、今回は干潮だったので建物の根本まで見えます。砂が目立っていて、あまり美しくないですねw大鳥居をあとにして、社殿に向かいました。
社殿などを参拝するには、昇殿初穂料(拝観料)を払う必要があります。
拝観料300円(大人)を払い、社殿の方へ進みました。厳島神社の社殿は板の間に隙間があるので、ハイヒール等は避けた方が良いでしょう。
この記事は厳島神社の紹介がメインではないので、軽く説明しようと思います。
厳島神社の社殿に来た観光客は、まず東廻廊を進んでいきます。厳島神社の社殿といえば、この朱色の廻廊が有名ですね。
少し進み、「客(まろうど)神社祓殿(はらいでん)」を見た様子です。右側に写っているのが、今通った東廻廊です。
全ての祭典は、まずこの客神社で行われるとのこと。この建物では、古い様式を見ることができます。とは言っても、僕はあまり建築関係のことは詳しくないのでよく分からなかったのですが。
次に、社殿「平舞台」付近から大鳥居を見た風景です。先ほどとは逆ですね。
雨による水溜りのせいか、潮位の変化が分かりにくいですね。
次は、「能舞台」です。左に少し写っているのが「能楽屋」です。毛利元就が造営に関わったとのこと。
そして、「反橋」です。観光客はこの橋を渡ることはできませんが、平安時代の頃は使用していたようです。
板に書かれているように、別名「勅使(ちょくし)橋」とも言われるようです。
ざっくりではあるものの厳島神社の社殿を順路に沿って見てきましたが、気づけば出口でした。
今回は干潮時の厳島神社の社殿でしたが、満潮時に訪れればまた違った印象を受けることができると思います。
揚げもみじ
時間に余裕があったので、宮島のいろんなお店を見てまわることにしました。今回、「紅葉堂 本店」に寄りました。
入り口付近では、宮島竹串回収の守「平のあげもみ公」が出迎えてくれます。役職名の通り、竹串を入れる穴があります。
このお店では揚げもみじを頂きました。
揚げもみじは、揚げもみじはもみじ饅頭に衣をつけて油で揚げた天ぷらにしたもので、「あんこ」「クリーム」「チーズ」「瀬戸内レモン」「レアチーズ」の5種類の味がありました。値段は180円です。
僕はチーズが苦手なので、チーズ味以外の揚げもみじを購入しました。
購入方法は、店内にある自動券売機で食券を購入して、それを店員に渡すと番号札を渡される形です。
揚げもみじを実際に食べると、外はサクサクしていて、中にはアツアツのもみじ饅頭が入っていました。
食券を出してから作っているので、揚げたてのもみじ饅頭をいただくことができます。食レポは得意ではないので上手く表現できませんが、おいしかったです。
店内には、購入した揚げもみじなどを食べることのできるベンチが設置されている他、無料でお茶を飲むことができます。また、そこにはもみじ饅頭専用の自動販売機も設置されています。
揚げもみじは揚げたてでアツアツの状態で頂くのがベストなので、青春18きっぷで訪れた小腹の空いた方にはとてもオススメです。宮島を訪れた際には、是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
宮島フェリーを利用(復路・宮島桟橋→宮島口桟橋)
帰りも青春18きっぷを使って宮島フェリーに乗ります。青春18きっぷの最大の特徴は、乗り放題であることですからね。
当然のことながら、このフェリーにも1日に何度も乗ることが出来ます(フェリーに何往復も乗る人はほとんどいないと思いますがw)。
前述の通り、改札は宮島側で行われます。ですから、今回は乗船前に改札がありました。乗船の案内がなされた後、青春18きっぷを改札係員に見せて、船に乗りました。
往路とは異なり、今度は客室に座りました。復路は、全ての便が大鳥居を経由することなくまっすぐ宮島口港に向かいます。往路の通常便も同じ経路です。
17時25分頃に宮島桟橋を出発して、約10分後の17時35分頃に宮島口桟橋に到着しました。
ここから宮島口駅の方に向かうと、上の写真のような看板があります。
最後に
今回は、JR西日本宮島フェリーに青春18きっぷ で乗船しました。
本州と宮島を結ぶフェリーは2つある中で、今回は青春18きっぷを持っていたので往路・復路ともにJR西日本宮島フェリー一択でしたが、大鳥居に海から大接近して見ることが出来たので非常に満足しました。
また、紅葉堂本店で頂いた揚げもみじがとてもおいしかったです。天気が悪く少し寒かったので、熱々の揚げもみじで体が温まりました。
青春18きっぷの行程で広島を通る際は、宮島や厳島神社を訪れてみてはいかがでしょうか。追加の交通費がかからない上に、JRのフェリーなら(ほとんどの時間帯の宮島へ向かうフェリーが)大鳥居にかなり接近するので非常にオススメです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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