前回、吉松駅にて友人2人と合流して青春18きっぷの旅が本格的にスタートしました。
最初の目的地である熊本駅まではまだまだ先です。
ひたすら肥薩線を北上していきます。
今回は、特徴の多い肥薩線についてです。
また、青春18きっぷとも少し絡めて書いています。
肥薩線・山線
吉松発人吉行の列車で、まずは人吉駅を目指します。
肥薩線の吉松・人吉間は「山線」と呼ばれており、標高差はなんと約430mにもなります。
今回の場合、人吉駅まではひたすら山を登っていきます。
現在は「肥薩線」という路線名ですが、元々は鹿児島本線として全線開通した路線でした。
八代・鹿児島間の海岸沿いの路線(現在の鹿児島本線及び肥薩おれんじ鉄道)が開業するまで鹿児島本線だったこの路線は、100年ほど前の明治時代に出来たものです。
また、この区間は1日に3往復しか走っていないため、青春18きっぷでの計画を立てる時に悩ましい区間でもあります。
もっとも、鹿児島などの九州南部から九州北部へ渡る(もしくはその逆)ルートは肥薩線を含めて3つありますが、残りが青春18きっぷが使えない肥薩おれんじ鉄道がある西側ルートと宗太郎越えで足止めを食らう東側ルートなので、元々苦労する地域です。
スイッチバックとループ線
先ほど説明したように、肥薩線は100年ほど前に全線開通した路線です。
その当時は長いトンネルを掘る技術も乏しく、列車も急な斜面を登ることは決して簡単ではありませんでした。
列車のパワーが足りないと登りきりません。
実際、太平洋戦争の終戦の7日後に、肥薩線の吉松駅と真幸駅の間にある山神第二トンネルにて様々な要因が重なったことにより蒸気機関車が登りきれなかったことをきっかけに約50名の犠牲者を出した「肥薩線列車退行事故」が起きています。
事故の詳細は、Wikipedia等をご参照ください。
ただ単に線路を敷くだけでは山を越えることが出来ないため、ある工夫がなされました。
それがスイッチバックとループ線です。
どちらも距離を稼ぐことで勾配を緩和して登りやすくしたものです。
自転車で考えてみてください。急な短い坂を登るよりも長くて緩やかを登るほうが楽ですよね。それと同じ理屈です。
順に説明していきます。
スイッチバック
スイッチバックにもいくつか種類がありますが、ここでは肥薩線のスイッチバックについて説明します。
簡単に説明すると、ジグザグに線路を敷くことで勾配を緩和する方法です。
肥薩線の場合、2回進行方向を変えてジグザグに登っていきます。
ループ線
こちらもいくつか種類がありますが、肥薩線のループ線について説明します。
名前のとおり、螺旋状に線路を敷くことで勾配を緩和する方法です。
山間部ではありませんが、レインボーブリッジもループ橋になっています。
肥薩線のスイッチバックとループ線
肥薩線の山線には、スイッチバックやループ線の構造となっている駅が2つあります。
それぞれ紹介します。
真幸駅
吉松駅を出ると、次は真幸駅(宮崎県えびの市)です。
宮崎県で初めて出来た駅、かつ肥薩線では唯一の宮崎県の駅です。
この駅のスイッチバックは、逆Z型になっています。
上の画像は、真幸駅入線前に撮ったものです。
写真上部に写っているのが、真幸駅で折り返して登る線路です。
吉松駅からやってきた列車はまず駅で折り返します。
もちろん、駅ですから乗車や下車も出来ます。
ちなみに、上の写真の駅名標の横に写っているのは「幸福の鐘」です。
駅がある宮崎県えびの市のホームページにはこのように書かれています。
ホームの中央に幸せの鐘が置かれ、チョット幸せな人は1回、もっと幸せを願う人は2回、いっぱい幸せの人は3回鳴らすとされています。
引用:えびの市-観光情報サイト
また、「真幸」という縁起の良い漢字から、入場券が全国的に人気のようです。
一旦列車から降りようかなと思ったんですけど、締め出されるのが怖くて列車内に留まりました。
ワンマン列車ですから、運転士さんが反対側の運転台に移動するまでの時間はドアが空いているのですが、列車自体が1両と短いためにそこまで長い間空いていませんでした。
折り返すので、列車が逆走する形になります。
そして、しばらくすると何もない場所に停車しました。ここで再度折り返すのです。
運転士さんは車内を移動して、反対側の運転台(最初に使用していた運転台)に行き、元の進行方向で出発しました。
これで真幸駅のスイッチバックは終わりです。
ちなみに、真幸駅の隣の矢岳駅(熊本県人吉市)が肥薩線で最も標高の高い駅です。
また、この区間は吉松駅(鹿児島県)・真幸駅(宮崎県)・矢岳駅(熊本県)と三県が連続している区間でもあります。
大畑駅
真幸駅の2つ隣(矢岳駅に隣)の大畑駅(熊本県人吉市)という駅があります。
大畑と書いて「おこば」と読みます。
この駅は日本で唯一、スイッチバックとループ線を併せ持った駅としても知られています。
残念ながらループ線は列車内から写真で収めることは出来ませんが、乗っていれば螺旋状に進んでいることがわかるはずです。
吉松駅からの列車の場合、ループ線ののちに一回折り返した後に大畑駅に停車します。
そして、そこで再度折り返して人吉駅を目指します。
大畑駅は、駅舎から女性の方々2名が手を振っていたのが印象的でした。
人吉駅に到着・途中下車
9時44分ごろ、人吉駅(熊本県人吉市)に到着しました。
ホームに降りて見渡すと、色んなものがありました。
「いさぶろう」「しんぺい」というのは観光列車のことです。
今通った山線の3往復のうち2往復(うち1往復は熊本駅との往復)は観光列車となっていて、残り1往復が今乗ってきた列車のように一般気動車です。
「SL人吉」「かわせみ やませみ」は後述の肥薩線・川線を走る観光列車と特急列車で、「田園シンフォニー」は肥薩線ではなく「くま川鉄道」の観光列車です。
要するに、上の写真に描かれているのは人吉周辺を走る列車です。
3人で一緒に改札に向かい、青春18きっぷを見せて途中下車しました。
人吉駅周辺の散策
次の列車の発車時間まで少し時間があるので、近くを散策することにしました。
青春18きっぷは何回も途中下車できますからね。
駅を出てすぐのところには、このようなものがありました。
2枚の写真のうちの下の写真は、人吉城をイメージしたからくり時計です。
残念ながら10時ちょうどのときに人吉駅から離れていたので、動く様子を見ることが出来ませんでした。
さて、近くを散策しようと思ったのですが、近くに何があるかを全く調べていませんでした。
とりあえず適当に歩くことにしました。
しばらく歩くと近くに「青井阿蘇神社」があったので、そこに参拝することにしました。
参拝したときには全然知らなかったんですけど、すごい神社だったんですね・・・。
どんな神社か書くと長くなってしまうので、詳しくは公式ホームページをご参照ください。
人吉駅再入場・出発
人吉駅に戻ってきました。
次は、この人吉駅から終点の八代駅へ向かいます。
おそらく先程と同じ列車で、ずっと停車していたのでしょうね(違ったら申し訳ないです)。
ホームには下の写真のようなモニュメントがありました。
降りた時には気付きませんでした。
10時14分ごろ、人吉駅を出発しました。
肥薩線・川線
人吉駅から先、八代駅までは球磨川に沿って山を降りていきます。
人吉・八代間は「川線」と呼ばれています。
最初のうちは人吉市の市街地でしたが、すぐに山の中に入りました。
途中からは、球磨川とともに下っていきました。
基本的には線路は川と並行していますが、何度か川を渡ります。
初めは進行方向右側を流れていましたが、途中から進行方向左側に流れていました。
とても透き通った川でした。
それにしても、先ほどの列車とこの列車には多くの青春18きっぷ利用者が乗っているように感じます。
鹿児島方面から青春18きっぷを使って熊本方面に向かう上で経由する必要のある肥薩線は列車の本数が少ないためか、あくまで経由のために利用する人が多いように感じられました。
吉松駅で一緒に降りた2名も同じ列車にいましたし。
八代駅に到着・最初の難所を制覇
八代駅に近づくと、一気に風景が変わりました。
11時32分ごろ、八代駅(熊本県八代市)に着きました。
肥薩線は列車の本数が少ないので心配していましたが、無事突破することが出来ました。
ホームの柱には、「肥薩線0起点八代駅」という文字がありました。
最後に
肥薩線はスイッチバックやループ線といった様々な特徴のあり、とても魅力的な路線です。
その一方で、列車の本数が少ないため青春18きっぷ利用者にとっては悩ましい路線でもあります。
旅のスタートである鹿児島中央駅からここまでの列車は、どれか1つでも乗り遅れたら次の列車まで長時間待たないといけなくなるため、正直ヒヤヒヤしていました。
しかし、何事もなく八代駅までやってくることが出来てホッとしました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
(追記)2020年(令和2年)7月の豪雨によって川線は多くの橋梁(上で登場する当時撮った橋含む)が流失し、未だに復旧のめどがたっておりません。
また、山線の運行管理システムがあった人吉駅も被害にあったため、こちらも復旧のめどがたっておりません。