日本の中堅航空会社(MCC; Middle Cost Carrier)の座席は、位置によって前後幅が違うことはあっても基本的にサービスが変わることはありません。
JALのファーストクラスやクラスJ、ANAのプレミアムクラスといった国内大手航空会社の国内線にある上級座席は、MCCにはありません。
と言いたいところですが、MCCの1つであるスカイマーク(Skymark)には「フォワードシート」という上級座席があるのです。
今回はスカイマークのフォワードシートを実際に利用してみたので、その時の様子をまとめてみました。
フォワードシートとは
概要
フォワードシートについて、スカイマーク公式ホームページに以下の記載があります。
フォワードシートとは、最前列席を対象とした、前後の座席幅が通常座席より+19cm~38cmのお席です。
このフォワードシートは、
短い旅であっても、お客様には快適にお過ごしいただきたい。それがスカイマークの願いです。
というところからきているようです。
現在ではフォワードシートという名称ですが、少し前までは「足のばシート」という名称でした。
サービス
普通席との違いは、座席幅だけではありません。
1. 優先搭乗
まずは、優先搭乗です。
大手航空会社のようなマイレージサービスのないスカイマークには、(妊娠中の方や子連れの方、お手伝いが必要な方を除いて)優先搭乗というものがありません。
搭乗順は、座席の位置によって決まります。
そんな中、フォワードシート利用者は優先搭乗が利用可能です。
ほかの搭乗客よりも早く飛行機に乗ることができます。
2. 飲み物等の無料サービス
スカイマークでは、一部の長距離路線で行われているコーヒーサービスを除き機内の飲み物等は有料(税込み100円)となっています。
ですが、フォワードシートのみ無料となっています。
機内でお飲み物などの無料サービスを提供しております。「機内販売メニュー」の100円メニューから一つお選びいただけます。天候の状況により、ご提供ができない場合もございます。あらかじめご了承ください。
3. 預かり荷物の優先返却
そして、大手航空会社の上級会員や上級座席利用者にあるような、預かり荷物の優先返却もフォワードシートのサービスに含まれています。
空港到着後の預け荷物の受け取り時、フォワードシート利用者の荷物が最初に流れてきます。
そのため、真っ先に到着空港から移動できますし、なかなか自分の荷物が流れてこなくてイライラするというのを避けることができます。
利用方法
基本的には、搭乗日のチェックイン時に空港カウンターでフォワードシートを利用したい旨を申告する必要があります。
また、スカイマーク公式ホームページには
全国のスカイマーク空港カウンターにて、 ご搭乗日当日だけでなく、事前のご予約も承っております。
営業時間内にお越しのうえお手続きをお願いいたします。
と書かれているため、事前座席指定不可である非常口座席とは異なりフォワードシートは事前予約も可能なようです。
ここでは空港カウンターでの手続きのみのように書かれていますが、スカイマークの搭乗券裏側(下写真参照)を見ると空港カウンターのほか予約センターでの電話申し込みも記載されているので、おそらく電話でも大丈夫だと思われます。
ただし、インターネット上での手続きは不可能です。

座席指定に関して、ホームページには
ご搭乗に際し配慮が必要なお客様用の座席確保や機体のバランス管理などの理由により、事前に指定できる座席数には制限を設けさせていただいております。事前に指定できない場合は、搭乗日当日空港、もしくは予約センターにてお手続きください。
との記載があり、おそらく最前列のフォワードシートはバランス管理等を理由に(インターネット上では)指定できないものと思われます。
上の引用だと、空港カウンターでの手続きは当日しかできないような書かれ方になっていますね。
結局事前指定できるのかできないのか、少し分かりにくい記載方法なのが気になるところです。
注意点
まず、フォワードシートは最前列のみであるため、全座席数はたったの6席。
利用したくてもすべて埋まっている可能性があります。
また、「フォワードシートだから」というよりは「最前列シートだから」という話になるのですが、手荷物は上の収納スペースに入れる必要があります。
「フォワードシート」にお座りのお客様は、安全上の理由により、足元に物を置いていただくことができません。手荷物は頭上の物入れにご収納いただくようお願いしております。
実際に利用してみた
今回搭乗したのは、2022年(令和4年)9月10日のスカイマーク637便(中部国際空港発・鹿児島空港行き)です。
中部国際空港(セントレア)に到着
名古屋鉄道(名鉄)を使って、中部国際空港(セントレア)までやってきました。

14時45分発のスカイマーク637便は、第1ターミナル(T1)からの出発です。
中部国際空港(セントレア)駅と隣接するアクセスプラザから、動く歩道で第1ターミナルを目指します。

カウンターにてアップグレード
各航空会社のチェックインカウンターのある、第1ターミナル3階に到着しました。
アクセスプラザ側から見て左手が国際線チェックインカウンター、右手が国内線チェックインカウンターとなっています。

手前にJAL(日本航空)のカウンターがありますが、スカイマークのカウンターは一番奥(ガラス張りの窓側)にあります。
まず自動チェックイン機を使って搭乗手続きおよび搭乗券と手荷物タグの発券を行い、その後カウンターに向かい荷物を預けます。
その際、カウンターの係員さんにフォワードシートが空席ならアップグレードしたい旨を伝えました。
すると、隣のカウンターに移動をお願いされました(預け荷物は係員さんが隣に運んでくださいました)。
隣のカウンターに移動後、先ほど自動チェックイン機で発券した搭乗券を係員さんにお渡ししました。
このとき、フォワードシートを利用の方が誰もいなかったため、自由に座席選択可能でした。
ここで、追加料金1000円を支払います(クレジットカードも使えます)。
預け荷物にはプライオリティタグがつけられ、座席がフォワードシートへと変更された新しい搭乗券を渡されました。

座席が1列目となり、右下に「Forward Seat✈」のシールが貼られていました。
今回は、最前列の左窓側の座席です。
優先搭乗
9番搭乗口にやってきました。

行きの記事でも触れましたが、セントレア第1ターミナルは出発が3階、到着が2階と分かれています。
そのため、他の空港と異なりこの搭乗口から到着客が出てくることはありません。
さて、スカイマークにおける搭乗順は基本的に窓側からとなっていますが、その前に優先搭乗があります。
優先搭乗の対象者は妊娠中や子連れ等のサポートを必要とする方、そしてフォワードシート利用者です。

14時30分から搭乗開始とのことでしたが、その少し前には優先搭乗が始まりました。
この日はお手伝いが必要な搭乗客がいなかった(と思われる)ため、優先搭乗は自分だけでした。
(お手伝いが必要な方のサポートにやってきたと思われる)CAさんに先導していただき、搭乗客が誰もいない機内に入りました。

自分は別航空会社の上級会員なので優先搭乗時のこの感覚は慣れていますが、他の航空会社での優先搭乗は新鮮ですね。
フォワードシート
それでは、フォワードシートについて色々と見ていきましょう。

上の写真だと自分の座っている側の前後幅がかなり狭いように見えますが、中央非常口より前方の座席は左右で位置がズレているだけみたいです。
スカイマーク公式ホームページ記載の写真から、今回は前後幅が38cm広いタイプと思われます。
ちなみに、搭乗時の写真からも分かるように座席幅自体は普通席と同じっぽいですね。
最前列なので、安全のしおりなどは前方の壁に取り付けられています。

セントレア出発
最前列ですので、ボーディングブリッジが離れていく光景を間近で見ることが出来ました。


14時46分ごろに駐機場をバックし始め、14時50分ごろに滑走路へ向けて前進し始めました。

ここセントレアは日本三大都市圏の国際空港であるにも関わらず、滑走路はたったの1本。
そのため、「滑走路増設プロジェクト」という新たに2本の滑走路を建設する計画も進んでいます。


14時56分ごろ、セントレアRWY18を離陸(南方向へ離陸)しました。
今回は、滑走路上で1分ほど止まってからの離陸でした。


今回愛知県に1週間ほど滞在しましたが、とても楽しかったです。
また訪れたいですね。
機内サービス
15時2分ごろ、シートベルト着用サインが消灯しました。
さて、スカイマークでは飲み物等は有料(税込み100円)となっています。
ですが、フォワードシートのみ無料となっています。
機内でお飲み物などの無料サービスを提供しております。「機内販売メニュー」の100円メニューから一つお選びいただけます。天候の状況により、ご提供ができない場合もございます。あらかじめご了承ください。
さて、最前列というのもあり、シートベルト着用サインが消えた約3分後にCAさんが直接どの飲み物が良いかを聞きに来ました。
飲み物に関しては、メニューが前方ポケットに入っていたため事前に決めていました。

ちなみに、100円のものを1つ無料でいただけるというサービスのため、飲み物だけでなくお菓子も選択可能です。
今回は、あまり機内で飲む機会がないという理由で炭酸飲料(コーラ)にしました。

また、行きと同様にポケモン塗装のスカイマークの機体が描かれたネスレのキットカット ミニ(そらとぶピカチュウプロジェクトオリジナルデザイン)が配られました。
鹿児島空港到着
15時49分ごろ、シートベルト着用サインが点灯しました。
この日は、雲の関係で機内から見る桜島は微妙でした。


15時58分ごろ、鹿児島空港のRWY34に着陸(滑走路南側から着陸)しました。


着陸前に離陸待ちの小型機が見えたように、鹿児島空港は比較的旅客機以外の離発着も見る印象です。
16時1分ごろ、4番駐機場に到着しました。

16時2分ごろ、飛行機を降りました。

預かり荷物の優先返却
フォワードシートの特典は、降機後にもあります。
それが、預かり荷物の優先返却です。
前述の通り、フォワードシート利用者の預け荷物にはプライオリティタグがつけられます。

今回フォワードシート利用者は自分1人だけだったため、一番最初に荷物が返却されました。
最後に
今回は、スカイマークの上級座席であるフォワードシートを利用してみました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。